#01 【初期パート】「まさか自分が」――突然の白斑。11歳だった僕が抱いた恐怖と、伝えたい正しい知識。

発症:乳幼児期・中高生・小学生 / 向き合い方:そのまま受け入れる

肌の一部が、ある日突然白くなっていく――。

「尋常性白斑(じんじょうせいはくはん)」という病気を、あなたは知っていますか?

大学の研究会で白斑の認知を広げる活動をしている倉田速音(くらた・はやと)さん。現在は「全身の肌のほとんどが白く抜けている」と語る彼ですが、すべての始まりは12年前、11歳のときでした。

「最初は、まさか自分が病気になるなんて思ってもみなかった」

そう語る倉田さんに、初期症状に気づいたときのこと、診断を受けるまでの葛藤、そして当時抱えていたリアルな不安について、等身大の言葉で振り返ってもらいました。

■「すぐに治るよ」と言われていた。初期症状と、たらい回しの現実

――倉田さんが、最初に肌の変化に気づいたときのことについて詳しく教えてください。

白斑歴でいうと、小学校5年生のときからなので、もう12年になりますね。もともと地肌が結構焼けているタイプだったんですけど、最初は目元のあたりから、少しずつ色が薄くなっていきました。

最初は、母からも「はたけ(顔面単純性粃糠疹)」っていうよくある肌のトラブルなんじゃないか、「すぐに治るよ」って言われていたんです。僕自身も、最初はそこまで気にしていませんでした。でも、鏡を見るたびに明らかに色が抜けている箇所が増えていって……。気づいたときには、はっきりと白くなっていました。そこから体全体のいろんな部位からも色素が抜けていきました。

――そこから病院を受診されたんですね。医療機関で「白斑」と診断されるまでは、どのような流れだったのでしょうか?

実は、診断までの正確な流れは細かくは覚えていないんです。でも、後から母親に聞いた話だと、最初に行った地元の皮膚科では先生も白斑についてあまり詳しくなかったみたいで。目の前で教科書か何かを調べながら「これかなぁ……」って診断されたこともあったそうです。

白斑の具体的な治療って、レーザー治療や紫外線療法のような専用の機械が必要になるんですよね。だからどこの皮膚科でも対応できるわけじゃなくて。あちこちの病院をたらい回しにされた時期もあったみたいです。

■11歳で突きつけられた「治らない」という言葉。漠然とした未来への恐怖

――当時はステロイドを塗ったり、紫外線療法をしたりと、色々な治療を試されたとお聞きしました。病院に通う中で、一番しんどかったことは何ですか?

僕自身が病院で一番ショックだったのは、お医者さんから突然「治らない病気だ」と言われたことです。それまで大きな病気をしたことがなかったので、急に大変なことになっちゃったなって。一気に将来に対して漠然とした不安を抱くようになりました。

当時は小学生から中学生になる多感な時期だったので、「これから友達ができるのかな」「人とちゃんとコミュニケーションが取れるのかな」「いつか恋愛なんてできるんだろうか」って、そんな不安が次から次へと頭をよぎりました。

それに加えて、当時は皮膚がんになりやすいという話を聞いたこともあって。「僕、40歳くらいで死んじゃうのかな」「長く生きられないのかな」っていう死への恐怖もすごく強かったです。

――11歳のお子さんにとって、それはあまりにも大きすぎる抱え込みですね……。

そうですね。でも今振り返ると、自分以上に親のほうが不安でしんどかっただろうな、って感じています。母親は一生懸命、僕を病院に連れて行ってくれたり、学校側に病気のことを説明して協力をお願いしてくれたりしました。でも、親自身も周りの大人から心ない言葉をかけられたりして、裏ではすごく辛い思いをしていたんじゃないかって思うんです。

■うつらないし、火傷でもない。初めて白斑を知る人に知ってほしいこと

――もし今、身近な人や自分が白斑になって不安を抱えている人がいたら、どんな言葉をかけたいですか?

僕は今、結果的にどれをやっても完全には治らなくて治療はやめている状態です。でも、白斑は最初なら治る可能性だって全然あります。だから、まずは色んな治療法を試してみて、自分に合うものを模索してほしいなと思います。

その上で、もし治らなかったときや、新しく白斑について知りたいと思ったとき、僕たちが作った情報サイトを見てもらえたら嬉しいです。

――最後に、白斑を初めて知ったという人たちに向けて、これだけは知っておいてほしいという事実があれば教えてください。

まず一番に知ってほしいのは、白斑は絶対に人にうつらないということです。ウイルス感染のようなものではないですし、火傷の跡でもありません。ある日突然発症する病気なんです。

だから、街中で見かけて気になる気持ちは分かるんですけど、初対面でいきなり肌の色について詳しく聞いてくるのは控えてほしいな、と思います。どうしても気になるなら、十分に仲良くなってから聞いてほしい。というか、そもそもわざわざ聞く必要もないんじゃないかな、と僕は思っています。

あともう一つ、生活上の工夫として、白斑の肌は紫外線の影響をものすごく受けるということも知ってほしいです。

僕たちは長時間、紫外線に当たることができません。だから、バーベキューや海、プールに誘ってもらうのはすごく嬉しい反面、行くためにはかなりの覚悟と準備をして臨む必要があるんです。アルバイトや職場でも、窓際の席にずっと座り続けるのは肌のリスクが大きいので避けたい。

悪気がないのは分かっているからこそ、こういう『見えない負担や事情があるんだな』ってことを、少しだけでも知っておいてもらえると、僕たちはすごく助かります。

← エピソード一覧へ戻る