冊子「白斑とともに暮らすなかでの工夫」を手に持っているところ
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BOOKLET — パターン・ランゲージ

白斑とともに暮らすなかでの工夫

白斑のある当事者7名とご家族1名へのインタビューから生まれた、27個の実践的な工夫集。著者:井上絵里加・倉田速音。全27個を掲載しています。

ABOUT THIS BOOKLET

この冊子について

白斑と診断されると、治療やカバーメイク、紫外線対策など、これまでとは違う生活が必要になります。本書は、前向きに生きる先輩当事者の経験から、27個の工夫を「パターン・ランゲージ」という手法でまとめたものです。

暮らしの
工夫
27
PATTERN LANGUAGE
1自分なりの付き合い方を見つける
No.1〜9 / 新しい日常に対処していくための工夫
2心をケアする
No.10〜18 / しんどいとき、心と向き合う工夫
3自分らしさに変える
No.19〜27 / 白斑を自分の一部として受け入れる工夫
工夫の取り入れ方

すべてを取り入れる必要も、順番に取り入れる必要もありません。自分が実践してみたいと思った工夫から取り入れてみてください。ご家族やご友人と一緒に読むのもおすすめです。

FOREWORD

はじめに

本書は、7名の尋常性白斑の当事者の方と1名のご家族へのインタビューを通じ、皆さんが日々実践されている「暮らしの工夫」をまとめたものです。

著者の私、倉田速音が尋常性白斑と診断されたのは、11歳のときでした。はじめは顔や手足に白い斑点が現れ、それまでの日常が一変してしまったことを覚えています。しかし、高校時代のある出来事をきっかけに、私は白斑と前向きに向き合えるようになり、人生が大きく変わりました。

本書には、周囲との人間関係の築き方や紫外線対策、さらには白斑との精神的な向き合い方など、多岐にわたる知恵を具体的に収録しました。この一冊が、皆さまの毎日をより明るく照らす、ささやかな光となることを心から願っています。

倉田 速音

HOW TO READ

工夫の読み方

各工夫は、以下の構成で書かれています。

名前
工夫の「名前」。暮らしに取り入れるときに意識しやすくなります。
導入文
工夫の内容を魅力的に表す一文です。
状況
どのような「状況」でこの工夫が使われるのかが書かれています。
問題→解決
その状況で生じがちな「問題」と、どう向き合えばよいかの「考え方」。
結果
工夫を実行すると、どんな前向きな「結果」が期待されるのか。
CATEGORY 1

自分なりの付き合い方を見つける

周りの人の力を借りながら、新しい日常に対処していくための、9つの実践的な工夫です。

自分の意思を大切にする
「先輩たちから学ぶ」のイラスト
No.1
先輩たちから学ぶ
自分に合った方法を探していく。
▼ その状況において
尋常性白斑と診断され、治すのは難しいことがわかりました。当たり前だと思っていた日常が当たり前ではなくなり、不安に感じることがあるでしょう。
▼ そこで
先輩当事者に学びながら、自分に合った方法を取り入れていきます。これから紹介するパターン・ランゲージは、白斑とともに前向きに生きている人から得た、白斑との向き合い方を考える際のヒントです。
▼ その結果
先輩たちのヒントを参考にすることで、自分がどう白斑に向き合っていけばいいか、考えやすくなります。最初は漠然とした不安があっても、少し前向きに進んでいくことができるでしょう。
「カバーという選択肢」のイラスト
No.2
カバーという選択肢
「気づかなかった」と言われる肌へ。
▼ その状況において
白斑が目立つところにあると、「他の人に見られているのではないか」「白斑に気づかれているのではないか」と、常に人の視線が気になってしまいます。
▼ そこで
白斑をメイクでカバーするという選択肢を検討します。ファンデーションのようなものや、染色するタイプなど、いろいろなカバー方法があります。SNSの当事者グループやインターネットで探すと、いろいろな方法を知ることができるでしょう。
▼ その結果
白斑をカバーすることで、人から見られたり言われたりすることが少なくなり、安心して過ごせるようになるでしょう。ただ「絶対」ではありません。辛いときは身近な人に相談しながら、どの状況でカバーするのがよいかを考えていきます。
「家族との話し合い」のイラスト
No.3
家族との話し合い
自分の思いと家族の思いを擦り合わせる。
▼ その状況において
治療やカバーメイクなどの方針について、家族との間に気持ちの違いが生まれているようです。自分の気持ちよりも、家族の願いを優先してしまうことがあります。
▼ そこで
家族に、自分がどうしたいかを伝え、意見を擦り合わせていきます。まずは今の生活やこれからを考えながら、自分がどうしたいかを考えます。そして、家族に自分の意見を伝えられる話し合いの時間を取るようにします。
▼ その結果
自分の意見と家族の意見を擦り合わせながら、納得できる選択に近づくことができます。少なくとも、自分にも考えがあると伝わり、受け身の状態から脱することができるでしょう。
周囲の人との関わり
「知ってもらえる機会」のイラスト
No.4
知ってもらえる機会
聞かれることも、チャンスだ。
▼ その状況において
肌について、いろいろな人から聞かれることがあります。何度も聞かれて返すことを繰り返していると、疲れたり、面倒に感じたりしてしまいます。
▼ そこで
白斑について聞かれることは、この病気を他の人に知ってもらえるチャンスだと捉えます。白斑はまだ多くの人に知られていない病気です。自分の周りから知っている人を増やしていけば、世の中の理解に役立つでしょう。
▼ その結果
捉え方を変えることで、相手の質問に前向きな気持ちで答えられるようになります。また、相手に白斑を知ってもらうことで、これからの関係を築きやすくなるでしょう。
「伝えたあとのフォロー」のイラスト
No.5
伝えたあとのフォロー
相手を安心させられるように。
▼ その状況において
相手から肌のことを聞かれました。白斑があるという事実を伝えるだけでは、相手から過度に心配されてしまうことがあります。
▼ そこで
白斑について伝えたあとに、相手が安心できるような言葉をかけます。「痛くも痒くもないから大丈夫だよ」「自分はあまり気にしてないんだけどね」など、自分の感覚を伝えます。白斑を公表している芸能人の名前を挙げることもできるでしょう。
▼ その結果
相手から過度に心配されることが減り、相手も「聞いて申し訳ない」という気持ちを抱きにくくなります。その場の空気も悪くならず、やり取りが自然になります。
「事前の理解づくり」のイラスト
No.6
事前の理解づくり
協力体制をつくって、必要な対策を取れるように。
▼ その状況において
学校や職場などでカバーメイクや紫外線対策をしようと思っています。みんなと同じルールに合わせようとすると、必要な対策が取れません。
▼ そこで
カバーメイクや日焼けができないことを、身近な人・先生・上司にあらかじめ伝えておき、服装や活動場所を考慮してもらえるようにします。学校にメイク道具の持ち込みを相談したり、体育で長袖や日焼け止めの許可をもらったりします。
▼ その結果
周囲の協力をもらいながら、集団の中にいても必要な対策が取れるようになります。はじめは申し訳なく思うかもしれませんが、周囲にとっては先にわかっていた方がサポートしやすいものです。
紫外線対策を日常に取り入れる
「対策して挑戦」のイラスト
No.7
対策して挑戦
日焼けのリスクがあっても、対策をして挑戦。
▼ その状況において
日焼けのリスクがあっても、やりたいことがあります。「日焼けするからやめたほうがいい」と友達や家族に止められ、諦めてしまうことがあります。
▼ そこで
できる限りの紫外線対策と、日焼けしたときの対応策を備えたうえで行います。日焼け止めを定期的に塗ったり、UVカットの服を着たり。焼けてしまったときのために、顔を冷やす保冷剤や炎症どめの薬を用意しておきます。
▼ その結果
しっかり対策することで、やりたいことを楽しみながら自分の体を守れます。日焼けのリスクを抑えられるため、周囲の人にも不安を与えずに済みます。
「赤みチェック」のイラスト
No.8
赤みチェック
肌の変化は日焼けのサイン。
▼ その状況において
長時間の外出など、日焼けの可能性が高い状況にいます。万全に対策したつもりでも、環境や状況によって、知らず知らずのうちに日焼けしてしまうことがあります。
▼ そこで
肌の赤みやつっぱりを日焼けのサインと捉え、意識的にチェックします。外出の際は、鏡を見るときに赤くなっていないか確認したり、身近な人に「赤くなってない?」と聞いてみたりするといいでしょう。
▼ その結果
肌の状態を自覚し早めに対処できると、ひどい日焼けが減ります。続けると、どのくらいの紫外線で日焼けするかがわかり、その時々に合わせた対策がしやすくなります。
「お気に入りの対策グッズ」のイラスト
No.9
お気に入りの対策グッズ
紫外線対策を楽しめるように。
▼ その状況において
日々、紫外線対策をしています。「必要だからやっている」と思うだけでは負担に感じます。必要だと分かっていても、毎日時間や労力をかけるのは大変です。
▼ そこで
紫外線対策グッズにこだわりを持って、自分がワクワクするものを選びます。好きなデザインの日傘や羽織りもの、好みの日焼け止め。スカーフや帽子で、おしゃれの一部にする人もいます。
▼ その結果
お気に入りのグッズを使うことで、負担だった紫外線対策が日々の楽しみに変わっていきます。それだけで、毎日を少し明るく過ごせるようになるでしょう。
CATEGORY 2

心をケアする

白斑が広がってきたり、人から見られたりして、しんどくなってしまったとき、自分の心と向き合いながら乗り越えていくための工夫です。自分の気持ちを否定せず、ゆっくりと、新たな見方を身につけていきましょう。

味方をつくる
「日常の話題」のイラスト
No.10
日常の話題
白斑のことを普段から共有する。
▼ その状況において
不安な気持ちを一人で抱えていると、孤独に病気と立ち向かっているように感じることがあります。白斑が広がっていったり、別の場所に出てきたりしたとき、不安に感じ、自分では抱えきれないと思うこともあるかもしれません。そんなとき、他の人に迷惑をかけられないと思い、一人でどうにかしようと思いがちです。しかし、一人で立ち向かおうとすればするほど孤独感は深まり、かえって辛さが増してしまいます。
▼ そこで
信頼できる身近な人には、普段から自分の状況について話し、知ってくれている状態をつくります。家族や頼れる友人に、「ここにもできたんだよね」など、日常の話題の一つとして今の状態を伝えていきます。インターネットで調べた情報や、お医者さんから言われたことも、共有していくといいでしょう。こうすることで、今の状況を知ってくれている人が身近にいるようにします。
▼ その結果
身近な人に知ってもらっていることで、肩の荷が降り、気が楽になります。そして、みんなで立ち向かっているという安心感が生まれ、これからの治療方針や日常生活のことを相談しやすくなるでしょう。また、相手に共有するなかで、悩んでいたことが思ったより軽く感じられるようになるかもしれません。
「共感できる仲間」のイラスト
No.11
共感できる仲間
つながることで、ホッとする。
▼ その状況において
周りに同じ経験をしている人がいないと、自分だけが辛い思いをしているように感じられてしまうことがあります。100人に1人と言われるこの病気ですが、メイクや服でカバーしている人も多いことから、普段の生活の中で当事者を見かけることはあまりありません。そのため、自分が病気のことで悩んだり不安な気持ちを抱えていたりしても、共感できる人がいないと思い、孤独を感じてしまうことがあります。
▼ そこで
同じ病気の当事者とつながることで、共感し合える仲間をつくります。例えば、白斑について書かれているブログや、白斑のある人のSNSアカウントを探して、投稿を読んだり、連絡をしてみたりします。当事者のオンラインコミュニティもあるので、そこに入ることもできます。特に症状が出ている部位が近い人など、自分と同じような体験をしている人を見つけると、さらに共感しやすいでしょう。
▼ その結果
自分と同じ思いをしている人がいることがわかることで、自分だけではなかったという安心感と喜びを得られます。そして、日々のちょっとしたモヤモヤや不安を共有して、他の人から同意を得ることで、その思いを解消させることができます。また、他の人がどのような治療やメイクをしているかなど、今後の役に立つ情報を集めることもできるでしょう。
「居心地のよい環境」のイラスト
No.12
居心地のよい環境
白斑のことを気にしなかったり、ポジティブに捉えてくれたりする環境を選ぶ。
▼ その状況において
環境が原因で、前向きな気持ちになりづらいことがあります。周囲の人が悲観的にみてきたり、嫌なことを言ってくる環境だと、前向きに向き合っていきたいのに、悩んでしまうことがあります。周囲の人のネガティブな言葉や対応を気にしないようにしようとしても、自分も影響を受けてしまったり、ストレスを感じてしまうかもしれません。
▼ そこで
白斑のことを気にしなかったり、ポジティブに捉えてくれる環境を見つけて、そこにいる時間を増やします。例えば、学校や仕事以外に、趣味や習い事のコミュニティに所属したり、居心地の良い友達と時間を過ごしたりします。《共感できる仲間》のつながりも、一つのコミュニティといえるでしょう。また、海外に行ってみて、そもそも違うことが当たり前の環境に触れるのもいいでしょう。
▼ その結果
自分のいる環境を変えることで、前向きになりやすくなります。良い人間関係が増えることで、ストレスも少なくなり、見た目で悩むことも減っていくでしょう。また、白斑のことを「個性」や「かっこいい」などとポジティブに捉えてくれる人とたくさん触れていくことで、自信がつくようになります。
悩みの底から抜け出す
「リセットタイム」のイラスト
No.13
リセットタイム
悩んでいる状態を切り上げる。
▼ その状況において
ネガティブなことばかり考えてしまい、気持ちが沈んだ状態から抜け出せなくなってしまいます。生活をしているなかで、人から言われた心ない一言を思い出してしまったり、白斑が広がってしまうのではないかと不安になってしまったりすることがあります。考えても仕方がないことはわかっていても、つい考えてしまい、悩みの渦に巻き込まれてしまうかもしれません。
▼ そこで
気分転換になることをして、落ち込んだ状態を意図的に断ち切ります。例えば、趣味に打ち込んだり、無心で料理をつくったりしてみます。また、運動をすると、体を動かしてリフレッシュをすることにもつながります。こうして、いつまでも悪い方に考えてしまうのを一度打ち切って、違うことに意識を向けられるようにするのです。
▼ その結果
一度違うことをすることで、ネガティブな思考を打ち切ることができ、悩むことに時間と意識を奪われなくてすむようになります。そうなると、明るく過ごせるときも増えてくるでしょう。こうして、自分の感情との付き合い方を徐々に身につけていくことで、振り回されずに生活できるようになります。
「モヤモヤの吐き出し」のイラスト
No.14
モヤモヤの吐き出し
吐き出すことで、解消させる。
▼ その状況において
頭の中で考え続けていると、モヤモヤとした気持ちでいっぱいになり、そのことばかりが気になってしまいます。白斑とともに生活するなかで、将来についてどうするかや、治療法など、向き合わないといけないことがでてきます。そのことをずっと考え続けても答えは出ず、モヤモヤとした気持ちが渦巻いていくでしょう。その状態が続くこと自体が、ストレスになってしまいます。
▼ そこで
モヤモヤしていることをとにかく外に吐き出すことで、その気持ちを解消させます。例えば、信頼できる家族や友人、同僚などに、今モヤモヤしていることを聞いてもらいます。また、《共感できる仲間》に相談してみると、同じ気持ちから立ち直れた人を見つけられるかもしれません。また、日記やノートに気持ちを書き出すのも一つの手です。
▼ その結果
自分のなかで溜まっていた気持ちを外に出すことで、解消させることができます。また、自分が陥っている状況を客観的に見ることができ、これからどうするかを考えられるようになるでしょう。さらに、相談した相手からもらった言葉によって新しい視点を獲得でき、前向きな気持ちにつながることもあります。
「焦らずゆっくりと」のイラスト
No.15
焦らずゆっくりと
時間をかけて、自分の気持ちに向き合う。
▼ その状況において
今すぐこの状態を受け入れようとしても、なかなかそのような気持ちになれません。自分の心持ちさえ変えれば前向きに過ごすことができることはわかっていても、望んでいたわけではない現実をすぐに受け入れるのは難しいものです。むしろ、「受け入れよう」と頑張るほど、受け入れられない自分に対していらだちを覚えてしまうことがあるかもしれません。
▼ そこで
受け入れがたい気持ちになるのは自然なことだと認識し、自分の気持ちにゆっくりと向き合っていきます。「自分は悲しいんだな」「辛いんだな」「モヤモヤしているな」と感じたら、その気持ちを否定せず、まずはそのまま受け止めてみます。落ち込んでもいいし、泣いてしまっても大丈夫です。大切なのは、焦らず、自分のペースで気持ちに寄り添うことです。
▼ その結果
辛い気持ちも含めて自分をまるごと受け入れることで、少しずつ心が落ち着き、前に進む力が湧いてきます。症状が思い通りにはならなくても、それも含めて人生だと捉えられるようになるかもしれません。こうしてゆっくりと向き合い、乗り越えていくことで、人としても一回り成長することができます。
新しい視点を取り入れる
「やりたいことの後押し」のイラスト
No.16
やりたいことの後押し
一歩踏み出す勇気をもらう。
▼ その状況において
ネガティブな理由をつけて、やりたいことを諦めてしまうことがあります。他の人からどう見えているのかは自分にはわからず、「みんなもきっと気にしているだろう」と思ってしまいます。そうすると、見た目を理由にして、やりたかったことや行きたかった場所を遠ざけてしまうかもしれません。
▼ そこで
自分の家族や友人など、信頼できる人に話を聞き、その人の視点を取り入れることで、一歩を踏み出す勇気を得ます。やりたいことを伝えて相談すれば、相手からどう見えているかを知ることができます。もしかすると、「白斑なんて全然気にならないよ」や「考えたこともなかった」といった言葉が返ってくるかもしれません。そうした言葉を素直に受け止め、背中を押してもらうきっかけにします。
▼ その結果
他の人の視点を取り入れることで、諦めていたことにも挑戦できるようになるでしょう。そして、一歩踏み出すことを繰り返すことで自分に自信がつくかもしれません。また、話を聞いた人との間に、より安心感や信頼関係が生まれるでしょう。
「実現できている人」のイラスト
No.17
実現できている人
自分でかけていたストッパーを外す。
▼ その状況において
自分から諦めてしまうと、本当はできることだったとしても、実現できなくなってしまいます。白斑があることで、恋愛や結婚を諦めてしまったり、接客業や営業職に就けないのではないかなどと思ってしまったりすることがあります。また、温泉やプールなどの露出が多い場所に行くことを控えるようになる人もいるでしょう。しかし、こうして自分から制限をかけていると、悲観的になり、周りが羨ましいと思うことがあるでしょう。
▼ そこで
白斑がある人で実際にできている人を探して、実現できる可能性があるということを知ります。例えば、インターネットやSNSで探したり、《共感できる仲間》のコミュニティに投げかけて聞いてみるといいでしょう。あるいは、白斑のある有名人のネット記事や自伝を読むこともできます。自分とは違う人たちだと思っても、彼らもさまざまな葛藤を抱えながら乗り越えてきたので、その経験を聞いて親近感が湧くかもしれません。
▼ その結果
諦めていたことを実現している人を見つけることで、「もしかしたら自分もできるかもしれない」と勇気をもらうことができます。そうすることで初めて、実現できている人のやり方を真似したり、自分で工夫して挑戦することにつながります。また、その人と実際に話せた場合は、どのようにできるようになったのかを聞いたり、背中を押してもらうこともできるかもしれません。
「白い肌を目指す」のイラスト
No.18
白い肌を目指す
「治す」ではない方法もある。
▼ その状況において
治療をしても思い通りにいかず、悩み続けてしまうことがあります。白斑の症状は予測が難しく、「治したい」と願っていても、期待したような結果が得られないこともあります。自分なりに時間や労力をかけているのに成果が見えないと、「治療しても治らないのではないか」と思ってしまいます。また、カバーメイクで隠しきれなくなり、逆に元の肌が残っているところが目立つようになってきます。
▼ そこで
「元の肌に戻す」のではなく、「白い肌を目指す」という方向に切り替えます。例えば、お医者さんと相談して、元の肌色を抜く治療をする人もいます。また、白斑の方に色を合わせてメイクをすることもできるでしょう。治すことを目指さなくなるのは諦めと思えるかもしれませんが、自分の気持ちを解放することでもあります。もしまだ踏み出せない場合は、色を抜く治療をした人の話を聞いたり、少しずつ情報を集めるところから始めてみましょう。
▼ その結果
目指す方向を変えることで、白斑が広がることについても、前向きに捉えられるようになります。そして、肌が均一に白くなってくると、以前よりも症状が目立ちにくくなり、鏡で見る自分の姿が気にならなくなってきます。また、周囲から聞かれたり、視線を感じる機会も減っていくでしょう。
CATEGORY 3

自分らしさに変える

白斑は、コンプレックスにもなりますが、自分らしさの一つとして捉えることもできます。白斑への新たな意味づけをして、自分の一部として受け入れていくための工夫です。

個性の一つにする
「自分だけのマーク」のイラスト
No.19
自分だけのマーク
ハートやキャラクターなど、自分にしかない特別なしるしを見つける。
▼ その状況において
白斑という事実を受け入れられても、自分の肌をポジティブに捉えるのは、また別のステップが必要です。白斑のある生活に慣れてくると、ひどく落ち込むことも少なくなり、白斑に振り回されなくなってくるでしょう。しかしそれだけでは、白斑のことが「あまり気にならない」という状態になっただけで、自分の肌が好きだというポジティブな状態にはまだなれていません。
▼ そこで
白斑の中に、何かの形を見つけ、自分だけが持っているマークとして捉えます。ふとした瞬間に、ハートやキャラクターなど、何かの形に見えることがあるでしょう。自分で見つけることもあれば、家族や友人から見つけてもらえることもあるかもしれません。そのときには、白斑に名前をつけたりして、「自分だけのマーク」として特別な意味を与えてみます。
▼ その結果
「自分だけのマーク」として捉えられるようになってくると、自然と愛着が生まれてきます。そうするうちに、少しずつ自分の肌に対する印象が変わり、以前よりも好きになれるかもしれません。このようにして、白斑を、少しずつ自分らしさに変えていくのです。
「キャッチーにする」のイラスト
No.20
キャッチーにする
個性として捉えてもらえるように。
▼ その状況において
病名や症状をそのまま伝えるだけでは、自分の個性として受け取ってもらうのは難しいものです。そもそも、見た目や病気に関する話題はデリケートで、相手が気を遣ってしまうこともあるでしょう。自分自身は気にしていなかったり、むしろ前向きに捉えていたとしても、相手が必要以上に同情したり、悲観的に受け止めてしまうと、違和感を覚えるかもしれません。
▼ そこで
白斑をキャッチーに伝えることで、自分の特徴としてポジティブに伝わるようにします。例えば、「ここ、ハートみたいで可愛くない?」や「ちょっとアートっぽくない?」など、《自分だけのマーク》をシェアします。また、病気のことを伝えたときの、《伝えたあとのフォロー》として使ったり、子どもに聞かれたときの答え方の一つとして使うこともできます。何回も会う人には《日常の話題》の一つとして進捗共有をしている人もいます。
▼ その結果
白斑についてポジティブで魅力的な伝え方をすることで、相手も重く受け止めることなく、より個性として認識してくれるようになります。さらに、こうした伝え方を続けていくことで、自分自身にとっても「個性として捉えること」が当たり前になり、より前向きな気持ちで過ごせるようになるかもしれません。
「楽しむメイク」のイラスト
No.21
楽しむメイク
メイクは本来、楽しいもの。
▼ その状況において
「白斑をカバーするためにメイクをしている」と思うと、面倒に感じてしまいます。目立たないようにカバーするうちに、メイクが義務のように思えてしまったり、メイクをすることに後ろめたさを感じてしまうことがあるかもしれません。しかし、本来メイクは自分の好きなように見た目を変えられる楽しいものです。白斑をカバーすることだけを目的にすると、その楽しさを感じにくくなってしまいます。
▼ そこで
「可愛くいたい」「綺麗でありたい」という気持ちで、自分の魅力を引き出すメイクに挑戦します。例えば、顔のパーツを活かすメイクを研究したり、トレンドのカラーやアイテムを取り入れてみたりするのも一つの方法です。国内外にはSNSでメイクを発信している人が多くいるため、参考にするのも良いでしょう。さらに、白斑をあえて隠さないメイクを試している人もいます。
▼ その結果
日々のメイクが楽しくなり、面倒な気持ちから解放されます。また、自分の魅力を引き出しながら美しくいられることで、自信にもつながります。さらに、白斑をあえて隠さずにメイクをすると、自分の個性の一つとして活かすことができるでしょう。
新たな意味づけ
「魅せマインド」のイラスト
No.22
魅せマインド
「見られる」ということを前向きに捉える。
▼ その状況において
他の人からの視線を感じて、病気を意識してしまい、恥ずかしさや悲しさを強く感じてしまいます。白斑は見た目に出ることから、知らない人から見られたり、小言を言われたりすることもあります。その状況で、知らない人からの目線を受けて「目立っているんだ」とネガティブに捉えてしまうと、気持ちが振り回されてしまいます。他の人からの目線を気にするあまり、自分から行動を制限してしまうこともあるでしょう。
▼ そこで
むしろ「見てもらいたい」と思える状態を自らつくることで、「見られる」ことを前向きに捉えられるようにします。例えば、日常的に筋トレを続け、美しい体を目指している人もいます。また、「見られること=芸能人のような体験」と捉え、堂々と街を歩くのもいいでしょう。また、白斑を知らない人に対して「こういう人もいるんだよ」と広める気持ちでいるのも一つの方法です。
▼ その結果
他の人からの視線を、むしろ嬉しいものとして捉えられるようになります。また、そうするうちに、自分でもだんだんと白斑が気にならなくなっていきます。この考え方が自然にできるようになると、自分らしくのびのびと生きることができます。
「からだの声」のイラスト
No.23
からだの声
自分の体と心を大切にする。
▼ その状況において
白斑を見た目の問題として捉えているだけでは、その背景にある体や心の不調に気付けないことがあります。まだ詳しいことは分かっていませんが、白斑の進行にはストレスや生活習慣の乱れなど、体や心の健康が関係している可能性があります。そうした不調を放置し続けると、心身の疲れが回復されず、将来的に他の病気につながるリスクも考えられます。
▼ そこで
白斑の変化を、自分の体と心の調子を知るためのサインとして捉えるようにしています。例えば、白斑が広がってきたら「少しストレスが溜まっているのかも?」と気づくきっかけにして、意識的に自分を労わってあげるのです。《居心地のよい環境》を整えたり、《リセットタイム》を作ったり、人によってはこれを機に、禁煙を始める方もいます。
▼ その結果
自分の体と心を大切にして、健康的に過ごすことができるようになります。また、気を配るなかで、白斑が広がる要因を自分なりに見つけることができるかもしれません。さらに、白斑をきっかけに健康意識が上がると、他の病気になる可能性も下げられるでしょう。
「経験から得たもの」のイラスト
No.24
経験から得たもの
白斑とともに生きてきた経験をふりかえって捉え直す。
▼ その状況において
ふとした瞬間に、これまでに経験した嫌だった出来事を思い出し、辛くなることがあります。白斑とともに生きてきたなかで、自分ではどうにもならなかった辛い経験もあったでしょう。そのようなネガティブな経験は、忘れようと思っても記憶に残り続けているものです。今はある程度白斑を受け入れ、乗り越えることができていても、ふとした出来事によって、辛かった経験を突然思い出してしまうことがあります。
▼ そこで
白斑とともに生きてきた経験から得たものや学んだことを今の視点からふりかえり、新しい意味を見つけます。悪い記憶として残っている経験も、今の視点から捉え直してみると、良かったことや学んだこともあるかもしれません。また、辛い経験を乗り越えることで、人として強くなったと思うこともできるでしょう。周囲の人の優しさに気づくことができたり、自分も他の人に優しくできる人になれたと捉えることもできます。
▼ その結果
白斑とともに生きてきた経験が、悪いことばかりだったわけではなく、そのなかで得られたこともたくさんあったと自覚することができるでしょう。そうすると、過去の経験がポジティブに意味づけられ、自分を構成する一つとなります。そして、これからはその経験を活かして生きていけるようになるでしょう。
経験を未来につなげる
「悩む人の手助け」のイラスト
No.25
悩む人の手助け
この経験をした自分だからこそできることを。
▼ その状況において
自分は思い悩むことが少なくなったとしても、今現在、白斑で悩んでいる人もいます。これまでに白斑とともに長い時間を過ごし、周囲の人に支えられながら、白斑がある自分を受け入れることができるようになりました。しかし、すべての人が自分と同じように受け入れられるわけではなく、今も悩んでいる人はたくさんいます。それにも関わらず、そうした人たちの支えになる情報はまだ多くはありません。
▼ そこで
同じ当事者や世の中に対して自分ができることを探して行うことで、悩む人の助けになるようにします。例えば、当事者のコミュニティで、自分がこれまでどのような経験をしてきたか、そして今どう思っているのかを伝えるだけでも、勇気づけられる人はたくさんいるはずです。また、SNSやブログなどで白斑のことを発信することで、病気の認知を広め、偏見を持つ人を減らすことにもつながります。
▼ その結果
自分の今までの経験を役立てて、今同じように悩んでいる人たちを勇気づけたり、白斑の認知を広めたりすることができます。自分の経験が誰かの役に立っているというだけで、貢献できたと感じ、幸福感も得られるでしょう。また、他の当事者からコメントをもらったり、共感できたりすることが、自分の励みにもなります。
「分野に貢献」のイラスト
No.26
分野に貢献
尋常性白斑という分野自体を、自分の手でよりよくしていく。
▼ その状況において
《悩む人の手助け》だけでは、尋常性白斑という分野自体を前に進められるわけではありません。もちろん、自分の経験を発信したり、悩んでいる人に寄り添ったりすることで、当事者の心の負担を軽くすることはできるでしょう。しかし、治療法の進歩や、当事者がより豊かに生きるための新たな選択肢の開発といった、より大きく本質的な課題に取り組むには、別の視点とアプローチが必要です。
▼ そこで
白斑を発症したことをきっかけに、白斑に関する事業やサービス、研究などを始め、人生の一部にします。当事者のなかには、自分の好きなファッションと尋常性白斑のことを組み合わせて、紫外線対策ができるアパレルブランドを立ち上げた人もいます。また、メイク方法をSNSで発信し、インフルエンサーとして活動している人もいます。白斑の治療法について研究したり、当事者のコミュニティを運営したりすることもできます。
▼ その結果
白斑を自分の強みとして、当事者や社会のために行動することができます。そうした活動を通じて、社会に大きな影響を与えられる可能性もあります。そして何より、それは「自分だからこそできること」として深いやりがいを感じられるはずです。やがてその経験や取り組みが、自分自身の人生の意味となっていくでしょう。
「新たな自分らしさ」のイラスト
No.27
新たな自分らしさ
興味のあることを見つけて挑戦していく。
▼ その状況において
知らず知らずのうちに、「白斑に関する活動を続けなければいけない」という思い込みから抜け出せなくなることがあります。活動をして、いろいろな刺激を受けるなかで、他に興味のある分野に出会うこともあるでしょう。しかし、白斑がアイデンティティになり、周囲からもその役割を期待されているように感じると、活動をやめられなくなることがあります。そうなると、別のことに挑戦したいと思っても、自分自身でブレーキをかけてしまい、新たな一歩を踏み出せなくなってしまいます。
▼ そこで
白斑は自分の中のごく一部でしかないことを再認識し、興味のあることにたくさん挑戦していきます。例えば、やりたいことや好きなことをリストアップして、自分の興味のあることを確かめていきます。具体的にやりたいことがあれば、周囲の人に「こんなことをしてみたい」「こういうことに興味がある」と宣言するのも一つの方法です。また、他の人から誘われたことに乗ってみて、視野を広げるのもいいでしょう。
▼ その結果
興味のある分野に取り組むことで、新たな「自分らしさ」を見つけることができます。そして、その分野で経験や成長を積み重ねた後に、再び白斑に関わる取り組みを行うこともできます。その際には、これまでの経験や成長が相乗効果を生み、より大きな影響を社会に与えることができるようになるはずです。
ABOUT THE BOOKLET

冊子について

暮らしの
工夫
27
PATTERN LANGUAGE

27個すべての工夫と、当事者たちの声を、一冊の冊子にまとめています。ご家族やご友人と一緒に読むのもおすすめです。なお、本冊子の販売は行っておりません。

現在、冊子をお渡しするための準備を進めているところで、まだお配りできる状態にはなっていません。お渡しできるようになりましたら、改めてお知らせいたします。

※ 最新の情報は Instagram でお知らせします。

COPYRIGHT & CITATION

引用・利用と著作権について

本冊子『白斑とともに暮らすなかでの工夫』に掲載された文章・図版・パターン(工夫)の著作権は、著者および「白斑とともに」に帰属します。以下のルールの範囲でご活用ください。

引用はご自由にどうぞ

論文・レポート・記事・SNS・講演資料などで、本冊子や本ページの内容を「引用」として紹介することは、許可なく行っていただけます。引用は著作権法(第32条)で認められた正当な利用です。ただし、次の条件を満たすようにお願いします。

区別する
引用部分は、かぎ括弧(「」)や引用枠などで、自分の文章とはっきり区別してください。
主従の関係
あくまで自分の文章が「主」で、引用は「従」となる範囲にとどめてください。冊子の大部分や1つの工夫をまるごと転載することは引用にあたりません。
改変しない
引用する文章は、原文のまま用いてください。要約・抜粋する場合は、その旨を明記してください。
出典を示す
どこから引用したかが分かるよう、下記の例を参考に出典を明記してください。
出典表記の例

冊子から引用する場合
井上絵里加・倉田速音『白斑とともに暮らすなかでの工夫』2025年、No.◯「工夫の名前」より

このWebページから引用する場合
「白斑とともに」暮らしの工夫27(https://www.hakuhan-tomoni.com/pages/booklet.html)2026年◯月◯日閲覧

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著者・出典についての補足

本冊子は、白斑のある当事者7名とご家族1名へのインタビューをもとに、井上絵里加・倉田速音が「パターン・ランゲージ」という手法でまとめたものです。引用・紹介の際は、当事者の方々の経験から生まれた内容であることにもご配慮いただけますと幸いです。