J-TECと「メラノサイト含有自家培養表皮」
J-TECは「再生医療をあたりまえの医療に」を理念に掲げ、患者自身の細胞を用いた再生医療等製品の研究・開発・製造販売を行っています。白斑治療に用いられる「メラノサイト含有自家培養表皮」もその一つで、皮膚から採取した細胞を培養し、再び移植することで色素の再生を目指します。
参考:J-TEC企業紹介 / メラノサイト含有自家培養表皮について
当事者の皆さまから寄せられた質問
訪問に先立ち、白斑当事者のLINEオープンチャットで質問を募集したところ、治療に関するさまざまな声が寄せられました。特に関心の高かった内容について伺い、以下のような回答をいただきました。
Q. 費用はいくらですか? 保険適用はありますか?
A. すでに2024年10月1日より、「メラノサイト含有自家培養表皮」を用いた治療は保険診療として認められています。ただし、保険診療として提供できる医療機関には条件があるため、主に大学病院等で提供されているようです。
Q. どのような人が治療の対象になりますか? 進行中の白斑でも治療を受けられますか?
A. 保険診療の適応は「非外科的治療が無効又は適応とならない白斑」です。さらに使用上の注意として、「12ヶ月程度症状が固定した尋常性白斑、Vogt-小柳-原田病もしくは化学物質による完全脱色素斑、またはまだら症などの先天性異常による完全脱色素斑に対して使用すること」とされています。
また、保険診療として受けられる条件として、「非外科的治療が無効又は適応とならない白斑患者のうち、12歳以上の患者に対して使用した場合に限り算定できる」等の制限があります。それ以外の適応範囲は、患者の白斑の状態や、それぞれの医師の判断によります。
Q. 分節型と非分節型で違いはありますか?
A. 適応の文言上は分節型・非分節型に関する制限はありません。ただし、こうした外科的治療は一般に分節型でより良好な成績が得られるようです。非分節型では術後の再発率が比較的高く、いかに再発を予防するかが課題であると白斑の診療ガイドラインに記載されています。これらを踏まえ、最終的には医師が判断することになります。
Q. 移植後の見た目や仕上がりはどうなりますか?
A. 実際に治療を行っている医師のインタビューやFAQで詳しく触れられていますので、ぜひ参考にしてみてください。
参考:治療について / 医師インタビュー・FAQ / 患者インタビュー
当事者のライフストーリーから見えてきたこと
ワークショップでは、運営者が作成した「白斑とともに暮らす工夫」をまとめたパターンカードを活用し、社員の皆さまと意見交換を行いました。カードには、白斑当事者が日常生活の中で実践している工夫や考え方がまとめられています。
はじめに、複数の当事者のライフストーリーを共有しました。発症した時期や生活環境、白斑との向き合い方は人それぞれであり、同じ白斑であっても、その経験は一つではありません。
読み進める中で、自然と医療者からの言葉や説明についての話題が広がりました。あるライフストーリーで紹介された「20歳になったら治るよ」という医師の言葉に対しては、「その言葉は本人にどう受け止められるのだろうか」「励ましとして伝えた言葉でも、受け取る側によって感じ方は大きく異なるのではないか」といった意見が出ました。何を伝えるかだけでなく、どのような言葉で伝えるかもまた大切なのだと、改めて考えさせられる場面でした。
「もし自分が白斑だったら」
後半は、「もし自分が白斑だったらどう感じるだろう」というテーマでグループごとに話し合いました。印象的だったのは、社員の皆さまの反応が決して一様ではなかったことです。「自分だったら隠したいと思う」という人もいれば、「まずは治療や選択肢について調べると思う」という人もいて、同じテーマでも想像する行動や感じ方は人によって大きく異なっていました。
「学生時代は特に周囲との違いを意識しやすい時期かもしれない」「学校という限られたコミュニティの中では、感じ方もまた違うのではないか」「日本には“みんなと同じ”であることを求める空気があるのではないか」——白斑について考えることを通して、議論はより広いテーマへと広がっていきました。
カバーメイクにも関心が集まりました。「メイクによって安心して外出できる人もいると知った」「治療だけでなく、生活を支える選択肢はとても重要だと気づいた」といった声が上がり、治療と日常生活の両面から白斑を考える時間となりました。
治療だけではない支援について
ワークショップ後には、運営者による講演会を行いました。白斑を発症してから現在に至るまでの経験や、その時々で感じていたこと、周囲との関わり方、そして白斑コミュニティの活動を始めた背景についてお話ししました。
質疑応答では、「周囲から言われて嬉しかった言葉はあるか」「治療法についてどのような説明を受けたのか」といった質問が寄せられました。「医師からの説明が不十分だと感じることは課題だと思った」「病院の情報にもっとアクセスしやすくなると良いのではないか」という意見や、「治療法を説明する冊子だけでなく、患者の気持ちに寄り添うような冊子が病院にあっても良いのではないか」という声も印象に残っています。
訪問を終えて
今回のワークショップや講演会では、治療法だけでなく、白斑とともに暮らす日常についても多くの対話が生まれました。当事者がどのような経験を重ね、何を感じながら生活しているのか——その視点に触れる機会は決して多くありません。治療をつくる側と受ける側、それぞれの立場から率直に言葉を交わすことで、新たな気づきが生まれる時間となりました。最後に、貴重な機会をいただいたJ-TECの皆さまに心より感謝申し上げます。